小児では遊んでいる最中に頭部を打撲することは珍しくない。
これは一般的に大人が8頭身といわれるのに対し、
出生直後の乳児は約4頭身など小児では全身に占める頭の割合が大きく、
バランスを崩して頭部を打撲しやすいためです。
実際、消防への救急相談では、小児の頭部外傷の事例はかなり多いことが知られています。
しばしば親はヒヤリとさせられるものです。
こんなことが、小学生の女児が公園で高さ約1mの遊具から転落し、約1時間後に吐き気を催しました。
転落時の頭部打撲の有無は定かではなく、慌てた父親が救急車を要請した。
ところが女児は救急車到着時にはケロリとしていて、病院での検査も異常なく、今も元気というのです。
女児の父親は「救急車を呼んだのは、慌て過ぎだった」と反省しきりでした。
では、小児の頭部打撲、またはそれが疑われるときはどうすればよいのでしょうか?
その判断と対処法はどうしたらよいのでしょう。
打撲後24時間は細心の注意が必要になってきます。
まず、必要なのは頭部を手で触って瘤(こぶ=血腫)の有無を確認することです。
脳出血や脳挫傷を起こすほどの頭部打撲では、おおむね大きな瘤ができるからです。
もし、瘤があれば、患部を冷やして様子を見ます。
そのうえで打撲から1時間以内に2回以上の嘔吐(おうと)、
もしくは、嘔吐はなくとも呼びかけ時に目が泳ぐ、無表情で反応が悪い、
急にぐったりし始める、顔や手足の一部が引きつったようにピクピク動く・・・などの症状がある場合は、
脳出血を起こしている可能性があります。
迅速に救急車を呼び、医療機関に連れて行くべきです。
医療機関ではCT(コンピューター断層撮影)などによる診断が行われますが、
ここで「異常なし」と診断されてもまだ安心は禁物。
受診後に脳出血が始まる場合もあるからで、打撲から24時間以内は要注意です。
この間は安静を保ちながら、前記のような症状が起きていないかを注意深く観察をする。
もし症状があれば、再度救急車などで医療機関へ連れて行くことをお薦めします。
これらの場合、それ以上症状が悪化せず、
子供の顔色も良く、ニコニコしながら普段と変わりない活動性にほどなく戻っているならば、
ほぼ問題ないと考えてもよいと思います。
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